【2024年最新】アルコールチェックが義務化!対象者や企業がとるべき対策を解説
2023年12月1日以降、白ナンバーを含む事業用車両全てを対象に、アルコール検知器を用いたアルコールチェックが義務化されました。
アルコールチェック義務化という言葉自体は耳にしたことがある方が多いでしょう。
ただ、具体的に何が義務付けられているのか、どのような人が対象となるのかが正確に理解できていない方は少なくありません。
義務化の背景には、飲酒運転による交通事故が大きく関係しています。
事業者にとって大きな負担となる可能性はあるものの、飲酒運転根絶を目指すためにも義務化は必要な措置であると言えます。
この記事では、アルコールチェック義務化における以下のポイントについて詳しく解説します。
義務化にまつわる法改正の内容や背景
義務化対象となる事業者とは
企業がすべきこと
活用すべきおすすめのツール
アルコールチェック義務化について知っておくべき必要な情報はすべて網羅しています。ぜひこの記事を参考に、正しい知識を身につけてください。
アルコールチェック義務化の改正内容とは
アルコールチェックは、これまで緑ナンバー車を利用する事業者に限定して義務化されていましたが、2023年12月1日より白ナンバー車に対しても義務化が決定しました。
道路交通法施行規則の改正により、2022年4月以降、事業用車両のドライバーを対象としたアルコールチェックが義務化されましたが、当初は目視などによるチェックが行われていました。
しかし、2023年12月からは国家公安委員会の認定を受けた検知器の使用が義務付けられています。
検知器によるチェックにより、ドライバーの酒気帯びの有無をこれまで以上に正確に確認できるようになるため、今後の飲酒運転防止への効果が期待されています。
対象となる事業者は、運転前のタイミングに加え、運転後の合計2回、アルコール検知器を使用しドライバーの酒気帯びの有無を確認しなければなりません。
また、検査結果は1年間記録・保存することが義務付けられており、安全運転管理者により管理される必要があります。
アルコールチェック義務化のルールを守らなかった場合、直接的な罰則は定められていませんが、安全運転管理者の業務違反として、なんらかの罰則が科される可能性があります。
アルコールチェックの義務化が実施された背景
アルコールチェックの義務化が実施された背景には、飲酒運転による悲惨な交通事故が関係しています。
2021年6月、千葉県八街市で、飲酒運転のトラックが児童の列に突っ込み、児童5人が死傷する非常に痛ましい事故が発生しました。
飲酒運転により、かけがえのない命が奪われ、日本中の人々が胸を痛めたのは記憶に新しいのではないでしょうか。
この事故は、飲酒運転の危険性を改めて認識させるものとなり、今後同様の事故が絶対に発生しないようにと法改正が進められました。
その結果、2022年4月に道路交通法施行規則の改正が順次施行され、2023年12月にはアルコール検知器使用の義務化が始まりました。
アルコールチェック義務化対象企業の2つの要件
法改正により検知器によるチェックが義務化されましたが、ご自身が対象企業に該当するのか、明確でない方も多いでしょう。
義務化の対象となる企業とそうでない企業の線引きは明確にされているため、正しく理解しておく必要があります。
アルコールチェック義務化対象企業は以下のどちらかに該当する企業です。
自動車5台以上を保有する事業所
乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上を保持する企業
ここからは、アルコールチェック義務化対象企業の要件を「車両の台数や乗客定員数」「対象となる車両の範囲」に分けてそれぞれわかりやすく解説します。
1. 車両の台数や乗客定員数
白ナンバーの車両を5台以上を保有している企業は、アルコールチェック義務化の対象となります。
白ナンバー車とは、自社製品の配送や社員の移動など、さまざまな場面で利用される自家用車・営業車のことです。
白ナンバー車を使う事業者のうち、乗車定員数が11人以上の自動車1台以上、もしくはその他自動車5台以上を使用する事業者に、アルコールチェックが義務付けられています。
また、原動機付自転車を除く自動二輪車は、1台を0.5台として計算します。
さらに、外部からの依頼で荷物を運んでいるタクシー・トラック・バスなどの「緑ナンバー」にも、2011年から検知器によるチェックが義務化されているので、注意ください。
2. 対象となる車両の範囲
一般的に、個人ではなく法人や個人事業主が会社・組織で利用する自動車を「社用車」といいます。社用車には、役員車・営業者・運搬車なども含まれます。
アルコールチェックを義務付けられているのは、乗車定員が11人以上の白ナンバー車を1台以上保有している企業です。
社有車に限らず業務目的のレンタカー、リース車の使用でも必須です。
また、自家用車や軽自動車を業務中に使用する場合もチェックの対象となります。
ただし、通勤時のみの自家用車利用は業務目的の使用ではないため、義務化の対象にはなりません。
加えて、業務で使用する自転車においてもアルコールチェックは不要です。
しかし、道路交通法では、自転車の飲酒運転も禁止されているため、事業者として責任を持った行動が求められます。
アルコールチェック義務化で企業がとるべき3つの対策
アルコールチェック義務化に関して、企業はどのような対策をとる必要があるのかについても知っておく必要があります。
どのポイントが欠けても適切なアルコールチェックができなくなるため、正確な知識を身につけておくことが重要です。
ここからは、企業がとるべき下記3つの対策について、それぞれ詳しく解説します。
安全運転管理者・副安全運転管理者を決める
検知器の用意とチェックを実施
チェック結果を1年間保存
1. 安全運転管理者・副安全運転管理者を決める
アルコールチェック義務化の対象となる事業所は、まず安全運転管理者を設置する必要があります。
安全運転管理者とは、道路交通法に基づき、一定以上の台数の自家用自動車を保有する事業所において、運行の計画や運転日誌の作成、安全運転の指導を行う人のことを指します。
また、事業所で自動車を20台以上を使用する場合、所定の人数以上の副安全運転管理者も選任しておかなければなりません。
安全運転管理者の業務については、道路交通法施行規則第9条の10の規定によって定められており、主に以下のとおりです。
ドライバーの適性等の把握
従業員の運転適性・技能・知識・道路交通法などの法令を遵守しているのかを把握します。
運行計画の作成
速度違反・過積載防止・放置駐車違反など、安全運転確保を目的とした運行計画を作成します。
交替ドライバーの配置
長距離運転や夜間運転での安全運転を目的とし、事前に交替ドライバーを配置します。
異常気象時等の措置
天候が悪く安全運転が難しいと判断する場合に、ドライバーに必要な指示を出します。
点呼や日常点検による安全確保
過労・病気はなく正常に運転できるか、従業員に点呼を行います。
運転日誌の備え付け・記録
ドライバー名・出発日・終了・運転距離など、ドライバーに運転日誌への記録を促します。
安全運転の指導
交通安全教育指導に基づいて、教育や運転に関する必要な事項を指導します。
また、副安全運転管理者は「副」と付くために安全運転管理者の補助役と思われがちですが、実際は安全運転管理者と同様の業務を行うのが一般的です。
副安全運転管理者の選任基準は、車が20台増えるごとに1人ずつ選任が必要です。
安全運転管理者がいないときは、副安全運転管理者もしくは事前に事業所で定められた安全運転管理業務補助者が、アルコールチェックなどの業務を引き受けられます。
ただし、安全運転管理者不在時に他の人が業務を行う場合にも、最終的な責任は安全運転管理者が負うこととなるので注意が必要です。
アルコール検知器の用意とチェックを実施
安全運転管理者は、ドライバーの運転前と運転後の2回に分けて、検知器を使用し目視等で酒気帯びの有無をチェックする必要があります。
使用するアルコール検知器には、色や音や数値で酒気帯びの有無を確認できるものを選ばなければなりません。
また、常に正しく作動し故障していない状態で適切に管理する必要があるため、定期的なメンテナンス、故障や不具合のチェックは欠かせません。
対象となるのは、業務目的で自動車を運転するすべての人です。社員や役員、アルバイトやパートなど、雇用形態も問いません。
また、お酒を飲む・飲まないにかかわらず、運転する前にはアルコールチェックが義務付けられています。チェック方法には、以下の方法があります。
チェック方法
・目視での酒気帯びチェック
・モニターや携帯電話を使用した遠隔チェック
・アルコール検知器によるチェック
基本的に対面で行うのが原則で、目視により顔色・応答の声の調子・臭いをチェックします。
ドライバーの中には直行直帰するケースもあるため、ドライバーに携帯型アルコール検知器を所持させ、モニターや携帯電話を使用して検査する方法も認められています。
検知器によるチェックでは、色や数値、音でより正確に確認できます
>>【2024年最新】アルコールチェッカーの5つの選び方や種類を解説
アルコールチェック結果を1年間保存
アルコールチェック義務化のルールにおいては、検知器を使用したチェックの記録を記録簿などで保管する必要があります。
記録簿には以下の項目がすべて明確に記載されている必要があります。
記録簿の記載項目
・確認者名
・ドライバー名
・ドライバーの業務に係る自動車登録番号または識別できる番号・記号など
・確認の日時
・確認方法(検知器の使用の有無、対面でない場合は具体的な方法)
・酒気帯びの有無
・指示事項
・その他必要な事項
なお、記録簿の保存期間は1年です。紙媒体での保存方法もありますが、紙を使用した記録は紛失のリスクや改ざんなどの恐れもあるためあらゆる面で注意が必要です。
ここで、ツールの導入をおすすめします。
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安全運転管理者がアルコールチェック時に悩むポイント
アルコールチェックの義務化は、2023年から本格的に実施を始めたばかりのため、まだ十分に認識できていない方もいるのではないでしょうか。
ここからは、安全運転管理者がアルコールチェックをする際に悩むポイントは以下の2点です。それぞれわかりやすく解説します。
アルコールチェックを行うタイミング
直行直帰時の対応
アルコールチェックを行うタイミング
アルコールチェックを行うべきタイミングも明確に定められているため正確に理解しておかなければなりません。
チェックは必ずしも運転する直前もしくは直後に都度行わなければならないわけではありません。
業務目的で運転をする予定のある業務開始前、完全に業務目的での運転が終了した退勤時に行うことがルールとして定められています。
また、やむを得ず当日になり急遽運転する業務が発生した場合には、運転直前に行うことも認められています。
直行直帰時の対応
場合によっては、従業員が事務所に戻らず直行直帰するケースが考えられます。
この場合、どの方法でチェックをすべきか迷ってしまう方も少なくありません。
ドライバーが直行直帰する場合には、以下のアルコールチェック方法が認められています。
カメラやモニターを使用し、安全運転管理者がドライバーの応答の声色・顔色をアルコール検知器の測定結果とともに確認する方法です。
携帯電話などで直接ドライバーと対話する方法。検知器の測定結果もあわせて報告。
注意すべき点としては、いずれも対面での確認・同視ができる方法でなければならない点です。そのため、ドライバーからの電話やメールでの報告は認められません。
>> 直行直帰時のアルコールチェックを6つの運用ステップとともに解説!
まとめ:記録簿は「セーフくん」でオンラインで管理
2024年の4月から、事業目的のドライバーを対象として、検知器を使用したアルコールチェックが義務化されました。
アルコールチェックは、過去に起こった悲惨な事故を二度と起こさないために実施されています。
また、対象の事業所は以下のとおりです。
自動車5台以上を保有する事業所
乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上を保持する企業
対象にあてはまる事業所は、安全運転管理者を選任し、ドライバーの適性等の把握・運行計画の作成・交替ドライバーの配置など、安全運転に関する幅広い業務を行います。
また、ドライバーの記録を記録簿に残し、1年間保管する必要があります。1年間の情報を紙媒体で綺麗に保管するのは簡単ではありません。
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