アルコールチェック記録簿は、法令で定められた8つの必須項目を記載する必要があります。適切なテンプレートを活用することで、法令遵守しながら効率的に記録管理を行うことが可能です。
本記事では、アルコールチェック記録簿の必要性から必須項目、運用ステップや各種テンプレートまで詳しく解説します。記録簿の未実施による罰則や効率化のポイントもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
アルコールチェック記録簿が必要な理由とは
アルコールチェック記録簿は、企業の法令遵守と安全運転管理体制の構築において不可欠な書類です。
アルコールチェックの義務化
アルコールチェックの義務化は、2022年4月から段階的に実施されている法的要件です。2022年4月には目視による確認と記録作成が義務化され、2023年12月からはアルコール検知器の使用が必須となりました。
義務化の背景には、令和3年6月28日に千葉県八街市で発生した痛ましい交通事故があります。飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み、児童2人が死亡、3人が重傷を負う重大事故が発生しました。
悲惨な事故を契機として、白ナンバー車両に対する飲酒運転防止対策の強化が急務となったのです。
義務化に伴って実施すべきこと
義務化に伴い、企業は運転前後のアルコールチェック実施と記録作成を確実に行う必要があります。運転者の酒気帯びの有無を確認し、確認者名や確認日時などの必須項目を記録簿に記載することが求められます。
アルコール検知器を使用した確認結果の記録と、1年間の記録保存体制の構築が必要です。記録簿の管理体制を整備し、定期的な見直しと改善を継続することで適切な運用を維持できます。
関連記事:【2025年最新】アルコールチェックが義務化!対象者や企業がとるべき対策を解説
アルコールチェック記録簿の管理義務がある対象企業
アルコールチェック記録簿の管理義務は、安全運転管理者の選任が必要な企業に適用される制度です。
対象となる企業の判定は、自動車の使用本拠地ごとに車両台数を計算して行われ、一定の基準を満たす場合に義務が発生します。
対象企業の具体的な条件は以下の通りです。
- 乗車定員11人以上の自動車を1台以上使用している企業
- 乗車定員10人以下の自動車を5台以上使用している企業
事業所単位で判定されるため、複数の拠点を持つ企業は各拠点で個別に確認しなくてはいけません。事業所ごとに車両保有状況を正確に把握し、基準に該当する場合は速やかに安全運転管理者を選任することが求められます。
アルコールチェック記録簿の必須項目
アルコールチェック記録簿には、道路交通法で定められた以下8つの必須項目を漏れなく記載する必要があります。
- 確認者名
- 運転者名
- 車両登録番号または識別記号
- 確認の日時
- 確認の方法
- 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他必要な事項
各項目の記載内容は具体的かつ明確に記入し、後日の確認や監査に対応できる状態を維持しなくてはいけません。確認の方法では、アルコール検知器の使用有無と対面・非対面の別を明記し、酒気帯びの有無は検知結果を数値で記録します。記録簿の作成者と確認者を明確に区別し、責任の所在を明らかにすれば適切な管理体制を構築することが可能です。
アルコールチェック記録簿の運用ステップ
アルコールチェック記録簿の運用は、運転前後の確認実施から記録作成、保存管理までの体系的な手順で構成されています。具体的な運用ステップは、以下の通りです。
- 運転前の目視確認
- 運転前のアルコール検知器による測定
- 運転前の測定結果記録
- 運転後の目視確認
- 運転後のアルコール検知器による測定
- 運転後の測定結果記録
- 記録簿の提出
- 内容確認と修正
- 記録簿の保存
継続的な運用を成功させるためには、全従業員への制度周知と定期的な教育が不可欠です。記録簿の管理体制を整備し、定期的な見直しと改善を行うことで、長期的な法令遵守と安全管理の向上につながります。
関連記事:直行直帰時のアルコールチェックを6つの運用ステップとともに解説!
アルコールチェック記録簿の未実施や不備に関する罰則
アルコールチェック記録簿の未実施や不備は、道路交通法違反として厳格な行政処分の対象となります。ここでは具体的な罰則について解説します。
業務違反について
安全運転管理者の業務違反は、道路交通法第74条の3に基づく行政処分の対象となります。記録簿の未作成や不適切な管理は、安全運転管理者の業務怠慢として公安委員会による処分を受ける可能性が高いです。
処分の段階では初回違反に対する指導から始まり、改善が見られない場合は勧告、命令へと段階的に厳格化されます。最終的には安全運転管理者の解任命令が発出され、企業は新たな管理者の選任を余儀なくされます。
飲酒運転発生時の責任
飲酒運転事故が発生した場合、企業と安全運転管理者は重大な法的責任を負う結果となります。記録簿の管理状況は、企業の安全管理義務の履行状況を示す重要な証拠として民事・刑事両面で検証されます。
適切な記録管理を怠っていた場合、企業は使用者責任として損害賠償義務を負い、刑事責任を問われる可能性があるため注意が必要です。記録簿の不備は、企業の過失を立証する決定的な証拠として扱われます。
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アルコールチェック記録簿のテンプレート
アルコールチェック記録簿のテンプレートは、企業の運用形態に応じて最適な形式を選択することが重要です。以下の表は、主要な5種類のテンプレートの特徴と用途をまとめたものです。
種類 | 特徴 | 用途 |
国土交通省 基本テンプレート |
法令で定められた必須項目を網羅し、信頼性が高い標準形式 | 全企業向けの基本的な記録簿作成に最適 |
少ない枚数で 記録管理 |
複数の運転者や車両を1枚にまとめて管理可能 | 記録簿の枚数削減と保管スペース節約に有効 |
日付ごとに 記録管理 |
日次単位で詳細な運転状況を把握可能 | 日常的な安全管理の精度向上に適している |
車両ごとに 記録管理 |
車両単位で使用状況と安全管理を詳細に把握 | 車両管理と連携した効率的な安全管理に有効 |
ドライバーごとに 記録管理 |
個人の運転傾向と安全意識を継続的に管理 | 個別指導や安全教育の効果向上に適している |
ここでは、具体的なテンプレートの特徴について解説します。
国土交通省が提供している基本のテンプレート
国土交通省の基本テンプレートは、法令で定められた8つの必須項目を網羅した標準的な記録簿形式です。公式テンプレートは道路交通法の要件を完全に満たしており、どの企業でも安心して使用できる信頼性の高い形式となっています。
基本テンプレートの構成では、確認者名から指示事項まで必要な項目が適切に配置され、記入しやすいレイアウトが採用されています。以下、「国土交通省」が提供しているテンプレートをまとめているので、ぜひご活用ください。
アルコール検査記録簿テンプレート(Excel)
出典:国土交通省
少ない枚数で記録管理したい場合
少ない枚数での記録管理は、複数の運転者や車両の情報を1枚のシートにまとめる集約型テンプレートが最適です。月間や週間単位での一覧表示により、記録簿の枚数を大幅に削減し、保管スペースの節約と管理効率の向上が期待できます。
各セルには確認結果と異常時の対応を簡潔に記載し、必要な情報を効率的に管理することが可能です。以下、「島根県安全運転管理者協会」が提供しているおすすめのテンプレートをまとめているので、ぜひご活用ください。
アルコールチェック記録簿テンプレート(Excel)
出典:島根県安全運転管理者協会
日付ごとに記録管理したい場合
日付ごとの記録管理は、毎日の運転状況を詳細に把握したい企業に適した管理方式です。1日単位での記録シートを作成し、当日の全運転者と車両の確認結果を一覧で管理すれば、安全管理の精度を向上することが可能です。
日付別テンプレートでは、運転前後の確認時刻と結果を時系列で記録し、異常発生時の対応措置を詳細に記載できます。以下、「鹿児島県安全運転管理協議会」が提供しているおすすめのテンプレートをまとめているので、ぜひご活用ください。
アルコールチェック記録簿テンプレート(Excel)
出典:鹿児島県安全運転管理協議会
車両ごとに記録管理したい場合
車両ごとの記録管理は、特定車両の使用状況と安全管理状態を詳細に把握できる管理方式です。車両登録番号別にシートを作成し、当該車両を使用する全運転者の確認記録を一元管理することで、車両単位での安全管理を強化できます。
車両別テンプレートでは、車両の基本情報と使用頻度を記載し、運転者ごとの確認結果を時系列で整理します。以下、「千葉県安全運転管理協会」が提供しているおすすめのテンプレートをまとめているので、ぜひご活用ください。
アルコールチェック記録簿テンプレート(Excel)
出典:千葉県安全運転管理協会
ドライバーごとに記録管理したい場合
ドライバーごとの記録管理は、個人の運転傾向と安全意識の把握に最適な管理方式です。運転者別にシートを作成し、個人の確認履歴と指導記録を継続的に管理することで、個別指導の効果を向上できます。
運転者別テンプレートでは、個人の基本情報と運転歴を記載し、日々の確認結果と安全指導の内容を詳細に記録します。個人の特性に応じた安全教育プログラムの実施により、効果的な事故防止を実現できます。
アルコールチェック記録簿テンプレート(Excel)
出典:愛知県安全運転管理協議会
アルコールチェック記録簿の未実施や不備が起きる原因
アルコールチェック記録簿の未実施や不備が起きる原因は、以下の通りです。
食べ物や飲み物などによる誤検知
アルコール検知器の誤検知は、特定の食品や薬品の摂取により発生する技術的な問題です。口内洗浄液や咳止めシロップ、発酵食品などの摂取後に測定を行うと、実際の飲酒がなくても陽性反応が出る場合があります。
誤検知の発生時には、時間を置いた再測定と詳細な聞き取り調査により、真の飲酒状態を判定する必要があります。
手書きによる記入や手間
手書きによる記録作業は、記入ミスと作業負担の増加により継続的な運用を困難にする主要因です。文字の判読困難と記載内容の不統一により、記録の信頼性と法的証拠能力が低下する可能性があります。
手書き記録の問題として、記入時間の長期化と複数拠点での記録管理の複雑化が挙げられます。
定着までに時間がかかる
新制度の組織内定着には、従業員の意識変革と習慣化に長期間を要します。アルコールチェックの実施と記録作成が日常業務として根付くまで、継続的な指導と監督が必要です。
定着困難の要因として、従業員の制度理解不足と実施の必要性に対する認識の低さが挙げられます。
検査のなりすまし
アルコールチェックのなりすまし行為は、制度の実効性を著しく損なう深刻な問題です。他人による代理測定や、測定結果の改ざんにより、実際の飲酒状態が隠蔽される可能性があります。
なりすまし防止には、本人確認の徹底と、測定時の立会い確認が不可欠です。
アルコールチェッカーのメンテナンスの手間
アルコール検知器の定期メンテナンスは、測定精度の維持と継続的な運用に不可欠な作業です。センサーの校正や電池交換、清掃作業などの定期的な保守により、検知器の性能を適切に維持する必要があります。
複数台の検知器を管理する企業では、メンテナンススケジュールの調整と、代替機器の準備が必要となります。
アルコールチェック義務化において記録簿以外に対応すべきこと
アルコールチェック義務化への対応は、記録簿の作成だけでなく、総合的な安全管理体制の構築が必要です。
安全運転管理者の選任
安全運転管理者の選任は、アルコールチェック義務化対応の最重要事項です。道路交通法で定められた資格要件を満たす人材を選任し、公安委員会への届出を確実に行う必要があります。
選任要件として、運転経験年数と安全運転管理者講習の受講が必要です。企業の規模と車両台数に応じて、副安全運転管理者の選任義務が発生する場合があり、適切な人員配置を計画しなくてはいけません。
アルコールチェックの準備
アルコールチェックの実施準備では、検知器の選定と測定環境の整備が重要な要素です。企業の規模と使用頻度に応じた適切な検知器を選択し、測定精度と耐久性を確保する必要があります。
測定環境の整備では、プライバシーの確保と効率的な測定が可能な場所を設定します。複数拠点を持つ企業では、各拠点での統一的な測定体制を構築し、記録の一元管理を実現することが重要です。
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記録簿の保存体制を構築
記録簿の保存体制構築は、1年間の法定保存期間を確実に履行するための重要な準備事項です。物理的な保管場所の確保と、デジタル化による効率的な管理体制を並行して整備する必要があります。
保存体制では、記録の機密性確保と必要時の迅速な検索が可能な仕組みを構築します。バックアップ体制の整備により、記録の紛失や破損に対する対策を講じることが重要です。
従業員への教育
従業員への教育は、制度の実効性確保と継続的な運用に不可欠な要素です。アルコールチェックの目的と重要性を全従業員に周知し、積極的な参加意識を醸成する必要があります。
教育内容として、法的要件の説明と測定手順の実技指導を組み合わせたプログラムを実施します。定期的な研修により、知識の更新と意識の維持を図ることが可能です。
アルコールチェック記録簿の課題解決には「セーフくん」
アルコールチェック記録簿の作成と管理は、法令遵守のために不可欠でありながら、手書き記録の煩わしさや記載漏れなど多くの課題を抱えています。課題を解決するには、継続的な記録業務の負担軽減につながる改善が必要です。
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なりすまし防止機能と測定漏れ通知により、複数拠点での一元管理や営業活動との連携も可能です。アルコールチェック記録業務の効率化でお悩みであれば、ぜひ導入をご検討ください。